素直な天邪鬼

素直なようで天邪鬼な自分の波瀾万丈な人生

father

私には父の記憶が無い

 

母が兄と私を連れて家出をしてから

父とは会っていない

 

私が3歳くらいの頃に父と離れ

母は父の話題を嫌がるので

父の事は何も聞けなかった

 

たまに話題に出ると

父の悪口ばかりだった

 

なので私は父に会いたい

 

なんて絶対

母に言えなかった

 

そして母が末期癌で亡くなり

保険の手続きで戸籍を取り寄せると

父は亡くなっていた…

 

実は母が末期癌で入院中

母が亡くなったら

(母には申し訳ないけど)

父に会いたいと考えていた

なのでショックだった

 

父に会いたかった

どんな顔してるのか

どんな声なのか

どんな人だったのだろう

 

父は母と離婚後

再婚していたけど

子供はいなかったので

父の子供は兄と私の二人だけ

 

父は兄と私のことを

考えたりしてくれてたかな?

 

会いたいって思ったりしてたかな?

 

 

 

 

 

よく晴れた日

私が洗濯物を干していたら

息子が夫のTシャツに鼻を近付け

『石鹸のいい匂い』と言った

そしてニッコリしながら

『パパの匂いが少しして安心する』

と嬉しそうに笑った

 

色々な洗剤を使って

柔軟剤で香り付けしている

私には夫の匂いはわからない

でも、息子にはわかるようだ

私はなんだかとても嬉しくて

幸せな気持ちになった